弁護士コラム

遺産分割 ―もめない方法―column

2018.12.18

Q:同居していた父が、先日亡くなりました。相続人は長男の私
と、遠くに住む二男及び長女がいます。
父の遺産分割で兄弟がもめることなく処理したいのですが、
どういう点に注意したらよいでしょうか。

A:まず、亡くなられたお父さん(被相続人といいます。)の最も
身近にいた相続人の言動がポイントになってきます。
① 遺産分割の話し合いをする際は、事前に被相続人の財産(不
動産、預貯金、株、投資信託などの有価証券、生命保険等)に
関する資料を集めて、その資料を相続人全員が同じものを持つ
ようにすることです。
即ち、不動産であれば登記簿謄本及び固定資産税評価額(毎
年の納税通知書に入っています。)、預貯金であれば、通帳(
全ての頁)のコピー、有価証券であれば、証券会社から送られ
てきている取引報告書等のコピー、生命保険は、保険証券等の
コピーを他の相続人に交付することです。
そして、遺産目録を作って、遺産全体を見やすくします。金
額もできるだけ記入するようにします。土地の場合、路線価を
税務署で調べておくとよいです。
このようにして、被相続人の遺産についての情報を相続人全
員で共有することです。
② そして、次に大切なことは、遺産分割の話し合いは、相続人
だけで行うことをお勧めします。相続人の配偶者が入いると、
もめる原因になることがあります。兄弟には幼い頃からの歴史
があって配偶者が知らないこともあります。この歴史を踏まえ
ると、自ずと兄弟間で話しがまとまってくることがあるからで
す。
③ 遺産分割の分け方は、必ずしも法定相続分に従う必要はあり
ません。実情に合わせて遺産分割することが基本です。法定相
続分は遺産分割の話し合いが決裂したときに、裁判所が決める
際の基準になるものですので、話し合いの際に、この法定相続
分に縛られる必要はありません。
被相続人の世話や介護をしてきたこと、被相続人から受けて
きた恩恵等を総合考慮して、落ち着き所を見つけるようにしま
す。
④ 遺産分割の話し合いの際の心掛けとして、特に年長の人は弟
や妹と上下の関係ではなく、対等の関係にあるというスタンス
で臨むことが重要です。兄貴風、姉貴風を吹かせることは厳禁
です。
⑤ 最終的には、被相続人は何を望んでいたかをそれぞれの相続
人が思い描いて遺産分割の話し合いに臨むことです。少なくと
も、残された相続人間で争いが起こることは望んでいなかった
と思います。

弁護士 田 中 宏 幸

06-6630-3005